2022年4月1日 投稿

 

浅利与市地蔵尊(浅利にあり)

 

 

『浅利与市物語』作成に関わった主な会員は、飯島貞夫(会長)、中村宏治、渡辺勲、中村順一郎、
小松美知子、小松夫美雄(事務局)、安達修治(事務局)、天野隆夫、鈴木基方の9名である。
なお、文章化は事務局小松夫美雄が担当した。

 

はじめに
令和二年度「浅利を知る会」の活動の一つとして郷土の英雄、浅利与市について勉強することになった。

 

周知の通り、浅利与市に関わる史蹟・伝承を有する地域は、当山梨県大月市浅利地域の他に、
同県中央市の浅利地域他、秋田県比内地方にもある。
また、浅利与市の前半生は比較的明瞭に解明されているのに対し、後半生の足跡は全くと言って良い程に
不明である。
即ち、その前半生は、甲斐源氏第三世源清光の十男(ないしは十一男)として生まれ、所領として祖父義清
の所領の一部である浅利の庄を譲られ、壇ノ浦・奥羽合戦等の活躍で秋田比内地方の地頭職となり、
二代将軍頼家公に願い出て捕虜の板額御前を妻として貰い受け甲斐に帰った、

 

までは明瞭であるが、それ以降の行動は不明に満ちている。
なぜ大月市の浅利地区に与市の史跡や伝承があるのか、なぜ大月市はもちろんのこと、中央市にも浅利を
名乗る子孫がおらずに、秋田にだけいるのか等々。

 

それらの疑問を解明するための勉強会であるが、これまで多くの専門家が研究して分からなかったことが、
素人集団である「浅利を知る会」のメンバーで解明できるとは、勿論のこと思ってはいないが、素人は素人
としての強み、専門家の常識に囚われずに、飛躍した考え方ができるという強みを生かして、
「一つの浅利与市物語」を作ることは可能であろうという考えである。

 

故に、独りよがりとなる可能性が大きいので、できるだけ検討過程を詳細に記録し、専門家を始め皆様の
御批判・御意見を頂き、修正・訂正を加えて行きたいと考えるものである。

 

  1.大月浅利の浅利与市1.pdf

 

  2.大月浅利の浅利与市2.pdf

 

  3.平家物語の浅利与市.pdf

 

  4.吾妻鏡の浅利与市.pdf

 

  5.中央市他の浅利与市.pdf

 

 

終りに
「はじめに」で記したように、著者たち「浅利を知る会」のメンバーは、大月市浅利地区に在住する者達
である。
当浅利地区の郷土の英雄でありながら、伝承に不明な点の多い浅利与市について、その詳細を知る
べく勉強会を重ねてきて、これまでに述べてきたような内容の「浅利与市物語」を構築した。
繰り返しになるが、その手法は、歴史学の専門家による手法とは根本的に違うので、これが正しい浅利
与市像である、などとは主張しないし、出来ない代物であることは自覚している。

 

専門家の手法と大きく異なる点は、用いた資料や伝承の扱いである。
専門家は用いる資料や伝承等の評価から始め、一級資料・二級資料、等々ランク分けしてから解析に
とりかかるが、私達は、それが、明瞭に歴史的事実と異なっていない限り、例え明治以降に書かれた新しい
古記録であれ、断片的な伝承であったとしても、全て事実として採用した。
また、仮に歴史的な事実と違っている場合でも、それは長い伝承の過程で後代の誤写や誤解釈で間違って
伝えられた可能性はないかと検討し、部分的な解釈の変更で、歴史的事実と合うようになるのであれば、
そのように変更して採用した。

 

元々が少ない資料や伝承・史跡である。出来るだけ生かして採用する方針を取った。
そしてまた、それらの採用した資料と資料の間、点と点を繋ぐ手法は「推測手法」を用いた。
著者たちの誰も小説を書いたことはないが、恐らく「小説家の手法」に近いものであろうと思われる。
小説家が、同じ素材を用いても、全く別の小説が出来るように、私達がまとめた、この「浅利与市物語」も、
無数に存在しうる「浅利与市物語」の一つにしか過ぎないものであろう。

 

それでも、これまで「分からない」と言われてきた、@豊富の浅利と都留郡の浅利との関係A浅利一族が
鎌倉中期以降に中断してしまったと思われる理由、その他に一つの解答を与えることが出来た事、そして、
遠矢の名手であるとか、男勝りの板額を妻に懇請した五十過ぎの酔狂な男、的な興味本位の三面記事では
なく、悩み、夢を持ち、成長し、家族を愛した一人の人間としての人生を描くことが出来た事は、
ある意味、画期的な事ではないかと、この点に関しては自負を持っている。

 

この様な「浅利与市物語」ではあるが、歴史好きの同好の皆様の参考になれば幸いである。
そして、皆様のご指導・御意見を頂くことが出来、この「浅利与市物語」が含んでいるであろう錯誤が修正
され、成長した「浅利与市物語」が生まれるならば、これに勝る幸福はない。

 

最後に、浅利与市に関係ある各地の皆様方との地域間交流に、この「浅利与市物語」が少しでも貢献
できるのであれば、それは望外の幸せである。

 

謝辞
本「物語」をまとめるに際し、多くの方々のご協力とご支援を頂いた。
感謝申し上げる。
特に、飯島宗人氏には貴重な資料のご提供をはじめ、原稿のチェック、有益なコメントまで頂いた。
おかげで、本「物語」の誤謬箇所の幾つかを訂正することができた。
感謝に堪えない。

 

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