2024年1月17日 投稿

 

 

はじめに
新型コロナウイルスの恐怖が全世界を覆っていた中で、前報『浅利与一物語』(以下『前物語』と略す)を作成し、それから満二年が経過した。この間、新型コロナウイルスの蔓延は相変わらずであるが、ワクチンの開発と接種、ウイルスに対する知見の獲得・普及・啓蒙等により冷静で適正な対処ができるようになり、令和5年5月8日よりインフルエンザ同様の第五類に移行された。
それにつれ、私達「浅利を知る会」(以下「知る会」と略す)の活動も移動の自由を得、史跡見学では、中央市にある、与一公関連、さらに、境川にある板額関連、石橋八幡神社等ができた。人的交流においても、「中央市歴史文化ボランティアの会」の皆様とは二回の意見交換会を持つことができ、また「中央市豊富郷土資料館」が企画した令和3年度4年度の各行事にも参加できた。それらの結果、浅利与一公に関する新しい情報(と言っても、私たち「知る会」にとってであるが。以下同じ)が多く得られたので、この辺で、続編『続浅利与一物語』(以下『続物語』と略す)としてまとめておくことにした。

 

第一章では、『前物語』の修正箇所を示す。幸いなことに、現在のところ修正箇所は一ヶ所だけである。その修正箇所は、与一公が豊富から大月の浅利に移動してきた理由である。
『前物語』では、移動原因を、与一公の隠居に伴うものと推測したが、実際の移動は、与一公一家だけではなく、殆ど全ての浅利一族を伴う大規模の移動であった可能性が高い。
つまり、与一公が入婿する以前の、元々の浅利氏の先祖の代から開墾し続けた土地であり、また、先祖の御霊が眠る本領地・本貫地を捨てて移動するには、それだけの止むを得ない重大な理由が存在したはずである。与一公の隠居では弱過ぎる。よって修正した。
修正後の新仮説は、笛吹川の大氾濫により、浅利氏の本貫地(小字の浅利地区※)が氾濫後の笛吹川の新流路に飲み込まれて消失してしまった、というものである。
この新仮説に対する皆様のご意見を求める。
※ 「浅利は大字で小字の浅利はない」とのご指摘を頂きました。ここで用いた小字浅利とは、笛吹川左岸で且つ浅利川左岸の地で、与一公生誕以前に氾濫原を水田に開墾した浅利氏の本貫地を示す(以下同じ)

 

第二章では、この二年間に得られた新情報を示す。
それらの新情報をまとめると、一つは、浅利与一公は江戸時代頃までの庶民にとって、良く知っている有名人の一人であった、ことを示しており、二つ目は、与一公は、頼朝の重要な御家人の一人であった、ということになる。

 

第三章は、いわゆる「小説」である。『前物語』と、本『続物語』の第一〜二章で確認できた事柄の“点”と“点”とを結んで“線”とするための、欠落部分の創作である。

 

ついでなので、私達「知る会」の立場を示しておく。『前物語』でも述べたが、
・私達は郷土の歴史に関心がある、全くの素人集団である。
・歴史学の専門家になろうと思っている者は一人もいない。
・私達に与えられている史跡と古文書は、ほんの僅かしかない。
・それよりは少し多い、地域に伝わる「伝承」がある。
・故に、伝承を重視する。
・と言っても、学問的に決着のついた歴史学の研究結果と矛盾する伝承は用いない。
・但し、学研的に優勢ではあっても未決着の研究結果と矛盾する伝承は用いる(例、浅利太郎は板額の子)。
・私達にとって、浅利与一公は郷土の英雄である。そのためのバイアスが本文に入り込んでいることは認めるし、そのバイアスを愛するものでもある。

 

第三章では色々なことを述べる予定であるが、以下に示す従来からの疑問に関しても、一つの解答となるよう、言及する予定である。
【従来からの疑問1】
「平家を筆頭に、頼朝に睨まれた木曾義仲や奥州藤原氏、また、義経をはじめとした頼朝の弟たち等、全て亡ぼされている中で、一旦は睨まれ、一部の氏族は滅ぼされる中で、甲斐源氏の棟梁家(武田家)をはじめ、浅利氏等の氏族が生き延びることが出来た理由は?」
【従来からの疑問2】
「大月の与一地蔵尊の由来は『前物語』で述べたように定説はない。現在の優勢な説「(没)後に鎌倉公より與市公菩提のため積立式石地蔵尊を贈られたり」も、一般的な、没後に生前の功績に対して感謝を示す制度として、位階を贈る贈位の制度があるのに、贈位ではなく、なんで石地蔵が贈られて来たのか?」

 

この「はじめに」を書いている現時点で、第三章の構想はできていない。はたして無事に脱稿までたどり着けるものかは疑問である。しかし同時に、大きな楽しみを感じてもいる。我が郷土の英雄・浅利与一公を、早く復活させてあげたい気持ちでいっぱいである。

 

  はじめに 目次

 

  第一章『前物語』の修正事項(大月浅利への移住原因)

 

  第二章新しく得られた情報

 

 

 

 

 

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